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だんぜんおもしろいクルマの歴史 

だんぜんおもしろいクルマの歴史 堺憲一 著

堺憲一 著

発売日:2013.03.23
定価:2,860円
サイズ:四六判
ISBNコード:978-4-7571-4308-1

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この本の内容

馬車発、ガソリン自動車経由、次世代自動車行き。クルマの過去・現在・未来を、テクノロジーの側面からではなく、社会・経済への影響面からやさしく読み解く。クルマの進化と社会の未来を、両面から考える。

目次

はじめに
 未来への警鐘―このままいけば、大変なことになってしまう!
 自動車は大きな節目を迎えている
 クルマの歴史を鳥瞰すると、三度のパラダイムシフトがある
 この本のねらい

第1章 馬車から自動車へ
 1 前史
 1-1 古代から中世にかけてのクルマ
    陸上の輸送手段として、久しく活用された荷車
 1-2 近代ヨーロッパにおける馬車の普及
    貴族向けの自家用馬車=「マイカー」
    馬車が作り上げた公共交通ビジネス=「タクシー、ハイヤー、バス」
    馬車に伴い、道路も整備される
 2 始動
 2-1 産業革命に伴う輸送物資の増加と馬車の大型化
    化石燃料の使用と都市の肥大化が始まった
    馬車の大型化が進むと、馬不足が生じた
 2-2 馬車から自動車に継承されたのは
    馬車の部品や車体が自動車にも活用された
    馬車のデザイナーが自動車のデザインを。その名はカロッツェリーア
 2-3 自転車から自動車に継承されたのは
    「パーソナル・モビリティー」を最初に開花させたのは自転車
 3 展開
 3-1 最初の自動車は蒸気自動車
    自動車が誕生し、最初の交通事故も起こった
    発達したイギリスでは、反対・妨害も激しかった
    改善が進んだのはフランスとアメリカであった
    蒸気自動車のメリットとデメリット
 3-2 9世紀には電気自動車も普及した
    電気の活用が始まった
    欧米各国の電気自動車事情とは
    電気自動車のメリットとデメリット
    蒸気および電気が作り上げた公共交通ビジネス=汽船、機関車、電車、地下鉄
 3-3 ガソリン自動車の登場と普及
    ガソリン自動車が出現したのはドイツ
    普及に一番熱心だったのはフランス
    セルデンの特許権によって阻まれたアメリカ
    デトロイトが「自動車の都」になった
    最上の宣伝はレースで勝利すること!
 3-4 日本における馬車から自動車への動き
    幕末から明治にかけて、さまざまな交通手段が一挙に出そろった
    国産自動車もつくられたが…
 4 帰結―19世紀末~20世紀初めの人々にとってのクルマ・自動車
    ステータス・シンボルが馬車から自動車へとシフト!
    自動車に対する人々の反感には、すさまじいものがあった
    自動車にとっての最大の障害は、やはり道路の未整備
    第一次大戦によって認められた自動車のメリット

第2章 一品注文生産から大量生産、そしてクルマ社会の形成へ
 1 背景
    クルマは、職人の手で製作された
    大量生産に向けての条件整備
    オールズの試みも不可欠であった
 2 始動
 2-1 大量生産の元祖はT型フォードの夢は「農民のためのクルマづくり」
    ついにT型フォードが誕生した
    フォードシステムが完成した
    フォードシステムがもたらした広範なインパクトの数々
    フォードには限界もあった
 2-2 GMが作った大量販売の仕組み
    大量生産と大量消費はワンセットで
    GMの創設者デュラントの人生は「七転び八起き」
    スローンが定着させた大量販売の技法とは
    ビッグスリーの寡占体制が構築された
 3 展開-1 両大戦間期の動向
 3-1 ヨーロッパでは
    大量生産を受け入れる準備が整っていなかった
    ヨーロッパメーカーのクルマづくりとは
 3-2 日本では
    関東大震災のインパクトとは
    国内メーカーのメインはトラックであった
 4 展開-2 第二次大戦後の動向
 4-1 ビッグスリーの「黄金時代」と漂い始めた暗雲
    アメリカ車=大型車という等式が成立した
    のちに表面化することになる問題点の数々
 4-2 ヨーロッパの動向-伝統と大量生産のはざまで
    自動車市場は急速に拡大した
    クルマづくりには、このような特徴が
 4-3 日本の急速な追い上げと独自な生産方式の確立
    乗用車は「外国からの輸入でまかなえば十分」!
    主力製品は小型車と軽自動車
    日本で作られた固有な特徴とは
 5 帰結=クルマ社会の確立
    クルマ社会がもたらしたこと
    欧米社会のおける公共交通機関の衰退
    日本の公共交通機関は欧米とは異なった独自な展開を

第3章 ガソリン自動車から次世代自動車へ
 1 背景
 1-1 オイルショック後の地殻変動=自動車メーカーに突きつけられた課題
    オイルショックと排気ガス規制で顕在化した日米の違い
 1-2 日本メーカー
    革新的な動きとは
    バブル崩壊後の状況と環境問題・安全対策への関心
 1-3 ビッグスリー
    外国車の脅威に直面したにもかかわらず…
    オイルショックに伴う原油価格の高騰が大型車を直撃した
    日米自動車摩擦が始ったが、ビッグスリーの対応は?
    日本メーカーの現地工場のインパクト
    1990年代中頃の「復活」から2000年以降の「弱さ」の露呈
    ビッグスリーの破たんと苦境
 1-4 ヨーロッパメーカー
    ディ-ゼル車優遇策がもたらしたこと
    日本車のヨーロッパ進出には、厳しい規制があった
 2 始動
 2-1 次世代自動車の開発を促す外部環境の変化
    新興国で、巨大なマーケットが形成される
    石油の価格高騰と枯渇が視野に入ってきた
    環境意識が高まっている
    自動車メーカーの消極姿勢が是正されつつある
    燃費向上への規制がさらに強化されている
 2-2 次世代自動車にはどのようなものがあるのか
    ハイブリッドカー(HV)
    電気自動車(EV)
    燃料電池自動車(FCEV)
 3 展開への道筋
 3-1 自動車メーカーにとっての課題
    強固な土台を築きあげた日本メーカーに忍び寄る影
    エレクトロニクス産業が陥った負けパターンとは
    負けパターンを克服するには、戦略が不可欠に!
    パラダイムシフトが進展すると、自動車生産のあり方が大きく変化する?!
    インテグラル型からモジュラー型への変化?!
    モジュール化すると…
    電機メーカーが経験している「スマイルカーブ化」とは
    自動車生産ではパソコンとは異なって、モジュラー型への移行は困難!
    電池を制する者が世界を制する!
    希少金属の争奪戦はすでに始まっている
    新興国との競争も激化することになる
    中国でも電動化の動きが大きなうねりになりつつある
 3-2 消費者にとっての課題
    若者たちのクルマ離れは本当か?
    自動車を手放したあとは
 3-3 政府の役割
    次世代自動車普及に対する日本政府のスタンス
    アメリカ政府のサポート体制
    その他の国々におけるサポート体制
    新たな産業の育成を含めたグランドデザインが必要
 3-4 社会システムの端末としての次世代自動車
    電力の消費のみならず、供給の担い手にもなる
    情報端末としても機能する
 3-5 持続可能な交通に向けての条件整備
    クルマ社会にはこのような弊害がある
    持続可能な交通に向けての条件整備には、四つの方向性がある
    公共交通の復権が進められている
    独自な公共交通体系を有する日本では、どのような動きがあるのか
    公共交通を促すための条件整備には
 4 帰結への見通し=クルマと社会の将来
    次世代自動車の将来のシェアは?
    2040年代の未来のクルマのイメージとは

《参考文献》
《索引:クルマをめぐる「三つのパラダイムシフト」》

著者紹介

堺憲一(さかい・けんいち)
1948年生まれ。東京経済大学経済学部教授。
著書に『この経済小説がおもしろい!』(ダイヤモンド社)、『新版 あなたが歴史と出会うとき』(名古屋大学出版会)などがある。