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遠距離交際と近所づきあい 成功する組織ネットワーク戦略

遠距離交際と近所づきあい 西口敏宏 著

西口敏宏 著

発売日:2007.01.26
定価:3,080円
サイズ:四六判
ISBNコード:978-4-7571-2183-6

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この本の内容

何の変哲もない個人、組織、地域が、恵まれた環境でもないのに困難を乗り越え、目立って繁栄する場合がある。世界各地の事例と最新のネットワーク理論から、その秘密、法則に迫る。

目次

はしがき

第1部 遠くに及ぶ近隣社会

第1章 スモールワールド――友、遠方より来たる
狭い世間の不思議
大切な遠い知人
中国・温州の繁栄と「外出人」ネットワーク
公共事業も官民共同で
円卓のネットワーク
スモールワールド――同郷人のきずなと「遠距離交際」
トポロジーが鍵

第2章 ネットセントリック時代の幕開け
セブロウスキー中将の提言
ネットセントリック戦略
ネットセントリックなシステム開発
リワイヤリング能力を持つシステム
新時代の開発
「信頼」の重要性
「社会システム」が「組織」になるとき――ネットワークをどうとらえるか
ネットセントリック時代の幕開け

第2部 企業と地域のネットワーク

第3章 サプライチェーンのトポロジーを変えよ
トポロジカルな考察
サプライチェーンの二つのトポロジー ――腕長型と階層クラスター型
階層クラスター型の長所
ヨコ方向のバイパスによるリワイヤリング
サプライヤーから見たトポロジーの再現で、違ったものが見える
「5つのなぜ」と「6度の隔たり(接続)」
サプライヤーとカスタマー関係の連鎖――「後行程はお客様」の考え方
フラクタル連鎖――社会システムのクォークとしてのサプライヤー・カスタマー関係
相転移と自己組織化
フラクタル連鎖における認知機構
ソーシャル・ソフトウェアと海外での成功
フラクタル連鎖の効能
フラクタル連鎖を活かすも殺すも、バイパス次第

第4章 奇跡を生み出すネットワーク・パワー
アイシン精機火災事故からの奇跡的回復
緊急時に自己組織化するネットワーク
事故の背景
突発的な火災事故が起こった
生産復興が始まる
準備作業が大変だった
生産アプローチは多様だった
日頃の「遠距離交際」が活きた
ついに代替生産が始まる
ボトルネックを解消する
協力への「報酬」――補償問題の解決
教訓と含意
「脆さ」が改善活動を促す
協調は自然に生まれる
分権的ネットワークにおけるリーダーシップ

第5章 遠距離交際と近所づきあいのネットワーク
英国の「ケンブリッジ現象」
遠距離交際と近所づきあいのネットワーク・レント
ケンブリッジ現象の変遷
企業家支援体制の充実
4種類のレント効果の分析
ネットワークの冗長性

第6章 スモールワールド組織と活性化
スモールワールド組織
部門横断型チームの威力
知り得ないことへの対応
他の非公式なスモールワールド組織
行政改革のスモールワールド化

第7章 スマート・プラクティス政府の時代
英国の行政革命
顧客主義
規制国家から触媒国家へ、規制からパートナリング(協力者化)へ
スマート・プラクティス政府の発想法
要求プッシュからニーズ・プルへ
優れた民間慣行の導入
不可逆的な流れ
コラム7.1「ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)」
縦割りから横断(クロスカッティング)型へ
市政の改革
「フラクタル連鎖」を活かせ
国家の盛衰も行革の成否から

第8章 目に見えないシステムを改善する
目に見えないシステムの妙
英防衛調達の戦略的アウトソーシング
スマート・プラクティス政府化運動――防衛調達の新しいビジネスモデルを求めて
より賢明な調達があるはずだ――スマート・プロキュアメントの起源
ものではなく、「サービスの束」が大切――脱実体論的な認識の進化
カスタマー概念は進化する――ものからケーパビリティーへ
防衛装備開発チームリーダーは、マネジメント能力で選ぶ
防衛装備開発チームと戦略的アウトソーシング
意識革命を伝える現場の声
政府事業への応用を超えて

第9章 よりよい政府を求めて
トポロジーの違いが人々の態度に表われる
まずい事例から改善策が見える
小さな発端が、組織全体の機能を停止させることがある
防衛調達過払い事件はなぜ起こったか
事件の要約
事件の根本原因
防衛調達の国際比較
コスト管理は開発段階から
防衛庁は何をなすべきか――源流方式の導入
制約条件
防衛庁がなすべき施策
フロント・ローディング――前倒しの問題解決
額面上の競争(頭数だけの競争)と、実効性のある競争(頭を使った競争)は異なる
部分最適から全体最適へ
防衛庁スタッフ全員の意識改革が必要――危機はチャンスだ
サプライヤーとカスタマー関係の連鎖――「後行程はお客様」の考え方再考
近所づきあいはフラクタルに、遠距離交際でスモールワールド化を
懲罰からインセンティブへ、対立から問題解決へ
受益者としての国民と国際政治
防衛庁の究極のカスタマー、そのサービスの最終受益者は国民である
国際政治の制約条件
共生的、共創的関係を目指して

第10章 改革は始まった
防衛庁に「主査」制度を、コスト管理は開発段階で
トポロジーの改善
終わりの始まり
「遠距離交際」とリワイヤリングで、組織のトポロジーが変わった
個人的な体験、そして・・・

第4部 総括

第11章 ネットワーク思考が未来を開く
本書の説明の流れ
本書のメッセージの要約
スモールワールド・ネットワークの特徴と効能
ニーズ・プルにはフラクタル連鎖で対応を
未来を開くネットワーク思考
二つの大切な問題
信頼はどこから来るのか
リワイヤリングのしやすさはどこから来るのか

おわりに

著者紹介

西口 敏宏(にしぐち としひろ)
一橋大学イノベーション研究センター教授、組織間関係論
1977年早稲田大学政治経済学部卒業、1981年ロンドン大学インペリアル・カレッジよりM.Sc.(産業社会学)、1986年マサチューセッツ工科大学国際自動車プログラム常勤研究員(~1989年)、1990年オックスフォード大学よりD.Phil.(社会学)、1990年インシアード常勤ポスト・ドクトラル・フェロー、1991年 ペンシルベニア大学ウォートンスクール経営学部助教授、1994年一橋大学商学部産業経営研究所助教授、1997年一橋大学イノベーション研究センター教授、2001年夏ケンブリッジ大学ジャッジ経営大学院客員研究員、2002年・2003年夏メリーランド大学公共政策大学院客員上級研究員。
<著書>伊丹敬之:西口敏宏:野中郁次郎(編)『場のダイナミズムと企業』 (2000 、東洋経済新報社)、『中小企業ネットワーク―レント分析と国際比較』 (2003、有斐閣 )、 『Strategic industrial sourcing』(戦略的アウトソーシング、Oxford univ. Press. =1995年日経・経済図書文化賞受賞)ほか。