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制度と進化のミクロ経済学 

制度と進化のミクロ経済学 サミュエル・ボウルズ 著

サミュエル・ボウルズ 著

塩沢由典/磯谷明徳/植村博恭 訳

発売日:2013.07.16
定価:7,480円
サイズ:B5判変型
ISBNコード:978-4-7571-2295-6

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この本の内容

【 叢書《制度を考える》】   

人間の行動と制度は、いかに相互作用し、いかに進化したのか? 来るべき〈社会科学の統合〉への橋渡しとなる新しいパラダイムを提示する。最新の分析用具を用いて、現代経済を成立させている諸要素を解き明かす画期的なテキスト。

目次

日本語版への序文
序文
プロローグ 経済学と国ぐにと人びとの富

第1部 調整と対立:生成的な社会相互作用
第1章 社会的相互作用と制度設計
正しい規則を獲得する
調整と対立:1 つの例
ゲーム
社会的相互作用の構造
調整の失敗
ゲームと制度
結論

第2章 自生的秩序:経済生活の自己組織化
進化的社会科学
居住分離:1 つの進化過程
行動進化のモデル化
進化的な安定性と社会的結果
所有権の進化
結論:偶然的な制度か

第3章 選好と行動
選好,理由,そして行動
状況依存的な選好
社会的選好
経験に基礎づけられた社会的選好関数
結論

第4章 調整の失敗と制度的対応
漁師たちの悲劇再訪
漁師たちの悲劇を回避する
チーム生産
調整問題の分類体系
結論

第5章 協力の利益を分ける:交渉とレント・シーキング
交渉問題
交渉力と分配結果:ナッシュ・モデル
交互提案モデルにおける内生的交渉力
欠点と進化論的拡張
組織的レント・シーキングと交渉の非効率性
利害の対立と交渉決裂
結論

第2部 競争と協力:資本主義の諸制度
第6章 ユートピア資本主義:分権的調整
分権的配分と基本定理
一般競争均衡
コースの定理
コースの定理への2½ の声援
結論

第7章 交換:契約,規範,パワー
市場規範
情報の非対称性と依頼人・代理人関係
市場における契約と行動
結論

第8章 雇用,失業,そして賃金
雇用関係
均衡取引の特徴
一般均衡での労働市場
パレート改善のための交渉
企業はなぜ職を売らないのか
労働規律とインセンティブ:証拠
結論

第9章 用市場と富の制約,および資源配分の非効率性
信用制約:証拠となる事実
借り手と貸し手
富の制約と信用市場からの排除
リスク回避,所有権,資源配分の効率性
結論

第10章 資本主義経済の諸制度
資本主義と効率的設計
企業:なぜ資本が労働を雇うのか
競争的交換におけるショートサイド・パワー
富の分配と契約の分配
階級:不平等な富,不完備契約,パワー
結論

第3部 変化:制度と選好の共進化
第11章 制度と個人の進化
問題の概観
選好の文化的進化
内生的選好
ホッブズ的均衡とルソー的均衡
均衡選択(狩猟採集民スタイル)
第1次所有権革命のエージェント・ベース・モデル
結論

第12章 偶然,集合行為,制度的イノベーション
歴史のなかで生じうる諸制度の持続性と実現可能性
偶然と変化
規模の異なる部分集団における意図的な非最適反応行動
集合行為
結論:不平等の制度的エコロジー

第13章 制度と選好の共進化
互恵的利他主義と強い互恵性
個人的特質と集団的特質の共進化
多階層選択の論理
多階層選択のエージェント・ベース・モデル
進化の環境
結論

第4部 結論
第14章 経済的統治:市場,国家,共同体
経済学と進化的社会科学
市場と国家:ポスト・ワルラシアン的比較
共同体の統治(ガバナンス)
制度的補完性と制度的クラウディングアウト
結論:マンデヴィルの間違い

問題集

読書案内
参考文献
索引
訳者解説

著者紹介

【著者】
サミュエル・ボウルズ:マサチューセッツ大学名誉教授、サンタフェ研究所教授。
共著書に『アメリカ資本主義と学校教育1』(岩波現代選書)、『平等主義の政治経済学』(大村書店)などがある。

【訳者】
塩沢由典(しおざわ・よしのり):中央大学商学部教授、大阪市立大学名誉教授。
磯谷明徳(いそがい・あきのり):九州大学経済学研究院教授。
植村博恭(うえむら・ひろやす):横浜国立大学国際社会科学研究院教授。