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マンガ学への挑戦 進化する批評地図

マンガ学への挑戦 夏目房之介 著

夏目房之介 著

発売日:2004.10.15
定価:1,650円
サイズ:四六判
ISBNコード:4-7571-4084-3

品切れ

この本の内容

著者は進化し続けるマンガ批評の現場で、マンガを語る「枠組み」を整理する必要を感じ続けてきた。本書は原理的な、場合によってはさまざまな他領域にまたがる問題群に橋をかけ、筋道をつける試みである。

目次

はじめに

第一章 マンガの伝わり方
    「BSマンガ夜話」――批評的娯楽番組
    「いしかわじゅん」像の流通
    テレビ的文化消費
    岡田斗司夫の世代的水位
    マンガ支持層と社会
    日本マンガ学会の設立

第二章 マンガの論じ方
    マンガは誰のものか?
    芸術と大衆媒体
    マンガは読者のものか?
    作者・読者の合作
    批評という表現
    批評の根拠

第三章 マンガと批評
    夏目漱石の芸術観
    作品は作家のものか?
    作家主義と商業主義――『編集王』
    それぞれの反論
    作家内部の必然性
    批評とは何か

第四章 マンガ家とは何か
    作家と日常の意識――ちばてつや
    作家と無意識
    作家という人種
    マンガ家と批評家
    すれ違う作家と批評――つげ義春
    表現作品と批評言語
    作家の表現意識と自意識
    分業と作家性――さいとう・たかを
    独創性の場所――本宮ひろ志
    集団制作と自己表現

第五章 小集団システムとしてのマンガ
    アシスタントと作家性――水木しげる
    貸本劇画的工房システム
    「周縁的」メディアの性格
    鶴見俊輔らの白土三平論
    読者―作者共同体
    石子順造とマンガ論の片思い

第六章 市場としてのマンガ
    商品としてのマンガ
    他の商品との違い
    大衆社会の出版
    マルチメディア的性格
    マンガの重層的市場

第七章 社会からみたマンガ
    社会に有益かどうか
    マンガの影響論
    法的規制は必要か
    法的に説明する言語
    コミック作家の著作権を考える会

第八章 著作権・マンガ・世界
    著作権の考え方
    英米型著作権法
    大陸欧州型と日本の著作権法
    米国型社会
    構造と機能
    再びマンガは誰のものか?
    連続と非連続

第九章 マンガ批評小史
    さらにマンガは誰のものか?
    「私語り」のマンガ批評
    先行世代批評の退場
    マンガ批評言説史
    マンガ表現論の「限界」
    マンガを語ることの流行
    マンガ批評の担い手

第十章 あらたなマンガ論の枠組み
    外部の視線と枠組みの問題
    構造と歴史、空間と時間
    日本固有文化論
    マンガ起源論と定義
    文化とは何か
    マンガ論の枠組み 模式図

おわりに

付録 マンガ研究参考(不完全)文献

索引

著者紹介

夏目 房之介(なつめ ふさのすけ) マンガコラムニスト 1950年東京生まれ。青山学院大学史学科卒。出版社勤務後、マンガ、随筆、マンガ評論などを手がける。 ’99年、マンガ批評への貢献により朝日新聞社手塚治虫文化賞特別賞受賞。