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操作される生命 科学的言説の政治学

操作される生命 林真理 著

林真理 著

発売日:2002.09.08
定価:3,080円
サイズ:四六判
ISBNコード:4-7571-6008-9

品切れ

この本の内容

脳死・臓器移植、受精卵、遺伝子、ヒトクローン……。 生命操作の技術が医療分野へ応用されることによって、従来は治療困難とされた病に 日々新たな治癒の可能性が見出されている。これらの生命を操作する技術は、どのよ うな論拠のもとに使用が認められてきたのか。技術の行き過ぎには法律、指針、規則 で枠をかけることで歯止めをかけてきたと言われるが、「どこまでは良くてどこから は悪い」という確固とした基準を日本社会は持っていると言えるだろうか。本書では、 生命を操作する技術がどのような論理にもとづいて正当化されていくのか、何が暗黙 の前提とされているのか、そこで見落とされた視点は何か――組織された言説構造を 浮き彫りにする。

目次

序 問題の構造とは何か
第1章  読み替えられる問題――脳死移植技術
第一節 脳死移植の何が問題なのか
第二節  科学的「事実」による「客観的」解決
第三節  「社会的合意」問題の解決
第四節  自己決定概念の拡張と尊重

第2章 補助生殖技術の受容の論理
第一節 体外受精・胚移植の背景
第二節 拡張された治療パラダイム
第三節 生殖権パラダイムの登場

第3章 禁止は歯止めになるのか――ヒトクローン技術
第一節 ヒトクローン問題とは何だったのか――技術の歴史的背景
第二節 「可能性」論議とヒトクローン問題の「発見」
第三節 倫理にもとづく禁止が研究をさらに推進するという構造

第4章 生命の科学論はどこへ向かうか
第一節 生命科学・技術政策における意思決定問題
第二節 生命科学・技術の発展における倫理的な次元のかかわり
第三節 生命科学・技術の技術論に向けて

著者紹介

林真理(はやし・まこと)
工学院大学助教授。