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日本の愛国心 序説的考察

日本の愛国心 佐伯啓思 著

佐伯啓思 著

発売日:2008.03.01
定価:2,090円
サイズ:四六判
ISBNコード:978-4-7571-4175-9

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この本の内容

「愛国心」という概念をめぐって、ナショナリズム、民主主義、共和主義などの思想史における議論を整理し、「愛国心教育」論争から大東亜戦争の兵士の心まで、日本に生きる人々の心の歴史を振り返る。

目次

序論 なぜ愛国心か

第一章 愛国心という難問
 現代日本の「愛国心」
 近年の変化
 戦後日本という二重価値国家
 丸山真男に呪縛される知識人
 良いナショナリズム、悪いナショナリズム?
 ナショナリズム批判のワナ
 「ごっこ」の世界の「愛国心」

第二章 愛国心と愛郷心とナショナリズム
 「愛国心」をめぐる議論の混乱
 左派の混乱
 愛国心の二重性
 保守派の混乱
 「ナショナリズム」と「ステイティシズム」
 ネーション概念の二重性
 ナショナリズムの概念
 故郷喪失者たちの「愛国心」
 ネーションと民俗の関係

第三章 愛国心と近代国家の論理
 愛国心教育はどうして必要なのか
 ホッブズの議論
 愛国心と宗教
 西欧における「愛国心」の起源
 共和主義という伝統
 共和主義の継承
 ルソーとフランス革命
 アメリカにおける個人主義と愛国心
 「日本の愛国心」という問題

第四章 「負い目」をもつ日本の愛国心
 戦後日本の「負い目」
 江藤淳の批判
 鬱屈する「傷つけられた誇り」
 三島由紀夫と吉田満の「戦後」
 戦没学徒の声
 絶対的なかなしみ
 保田與重郎の「万葉の精神」
 小林秀雄の「戦争」
 日本的精神の行方

第五章 歴史観という問題
 靖国問題について
 「あの戦争」をどう捉えるか
 東京裁判を受け入れることの意味
 「歴史の終わり」という認識
 E・H・カーの「歴史」
 ネオコンの歴史観
 愛国心と不可分な歴史意識

第六章 日本の歴史観と愛国心
 近代日本が孕む問題
 福澤諭吉の近代
 歴史の必然ということ
 近代日本に必要だったこと
 京都学派の試み
 西田幾多郎の歴史観
 日本人の精神に流れるもの
 保田與重郎の思想のもつ意味
 敗北としての近代
 『万葉集の精神』の精神
 そして再び「日本の愛国心」

あとがき
主要文献

著者紹介

佐伯 啓思(さえき けいし)
1949年生まれ。
東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在は京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は社会経済学、経済思想史。
著書に『隠された思考』(筑摩書房)『現代日本のリベラリズム』(講談社)『倫理としてのナショナリズム』(NTT出版)などがある。