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情報の私有・共有・公有 ユーザーからみた著作権

情報の私有・共有・公有 名和小太郎 著

名和小太郎 著

発売日:2006.05.26
定価:2,700円
サイズ:四六判
ISBNコード:4-7571-0189-9

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この本の内容

「著作者の保護」と「できるだけ自由に著作物を利用できるようにする」という矛盾する理念のせめぎ合いから作られた著作権制度。著者の提唱する「ほどよいコモンズ」とは?

目次

はじめに

序章 ユーザーの視点
1 知的財産権制度入門
2 多忙な人のための要約
部分最適の制度改革/制度のなかのユーザー/著作者先払い、ユーザー無償のモデル/ゼロ・ベースの理解

第1部 情報の私有 著作権ビジネスの場合

第1章 メディア草創期の試行錯誤
まず特許/ついで海賊ビジネス/写真著作物としての映画/ザ・トラスト/言語著作物としてのサイレント映画/個人著作から法人著作へ

第2章 あいまい、ただし明快
1 あいまいな概念
もっとも小さい排他性/「物」ではなく「もの」
2 明快な枠組み
対象の確定/表現/意味の二分法/複製/使用の二分法

第3章 著作権制度、その素描
1 キーワード
いわゆる著作権/著作者人格権/財産的な著作権/著作隣接権
2 国際条約の縛り
ベルヌ条約/著作者の権利 対 複製の権利/異端の米国制度

第4章 公共的理念との衝突
1 権利の制限、その原則
2 著作権 対 表現の自由
パロディの条件/法律が芸術の上/芸術は法律の外
3 著作権 対 通信の秘密
サイエントロジー事件/ノーティス・アンド・テイクダウン
4 著作権 対 研究の自由
アクセス・コントロール/フェルテンの挑戦/アクセス・コントロール、再考
5 著作権 対 情報の公有
『死海文書』/復元作業/独占 対 公開/著作権訴訟

第5章 プライバシーの侵犯
1 私的使用
2 補償金モデルの形成
私的使用のイノベーション/新原則の導入
3 補償金モデルへの批判
4 補償金モデルの将来性
DRMの功罪/ファイル交換への現実解/公有化への布石

第6章 著作物の有効利用
1 中古の著作物
譲渡、貸与、頒布/ゲームは映画か
2 孤児になった著作物
保護期間/著作物の寿命/行方不明の権利者/著作権局の設問/保守的な意見/変化への期待/過激な提案

第7章 二一世紀初頭の試行錯誤
1 シミュレーション・プログラム
道具とその出力/超越的な人格権/シロウトの疑問/専ら~のみ/著作権の射程
2 ピア・トゥ・ピア
ファイル交換プログラム/私的使用、再考/VCR論理の拡張/カラオケ論理の拡張
3 リバース・エンジニアリング
少年には難解/言論的かつ非言論的

第8章 これまで、これから
1 ほころびるベルヌ体制
ベルヌ条約の枠組み/デジタル技術の特徴/ビジネス・モデルの変化/前提の希釈化あるいは消失
2 制度の自己組織化
市場の国際化/頻繁かつ部分最適の法改正/利益集団の形成
3 競争する制度

第2部 情報の共有 専門家集団の場合

第9章 商品化あるいは公有化
1 学術出版の商業化
研究者、そして学会/学術出版の寡占/シリアル・クライシス/ビッグ・ディール
2 ジャーナルの電子化
「e―プリント・アーカイブ」/「ジャーナルの死」論争
3 情報公開
オープン・ジャーナル/科学への公衆アクセス法案/反撥と支持/政府情報の役割/NIHへの公衆アクセス
4 出版モデルの反転

第10章 もう一つの報酬システム
1 批判と継承
先行者上位/二次的著作物
2 研究業績の特性
後続者優位/被引用すなわち報奨/発表せよ、破滅せよ
3 出版モデルの反転、再考
無償かつ無差別/グーグルの試み

第11章 情報操作、あれこれ
1 利益相反
論文捏造のリスク/新しいオーサーシップ/ピア・レビューも編集も
2 規制科学
評価者の資格/当事者の反応/外部の眼
3 国家安全保障
二つの文化/九月一一日以後/両用技術/発表のコントロール

第3部 情報の公有 市場に対して

第12章 公有の私有化
1 夢の時間
2 シャーマン宣言

第13章 伝統的知識の保護と保全
1 その定義
その舞台/紛争の型/その多義性
2 保護の可能性
特許とは/それ自体の特許性/TK由来発明の特許性/特別の権利の提案/データベース化の意味
3 保護の反作用
政策の選択/制度化のリスク

終章 ほどよいコモンズ
1 コモンズの悲劇
立ち入り自由/電話、インターネット、電波
2 反コモンズの悲劇
口出し自由/DNA特許/電子機器の標準/著作権ビジネス
3 コモンズ、自由も
4 ユーザー指向の著作権制度
ゼロ・ベースで考える/ファイル交換の現実解/予想される批判/アーキテクチャーの組み替え

参考文献
索引

著者紹介

名和 小太郎(なわ こうたろう)
1931年、東京生まれ。
1956年、東京大学理学部物理学科卒業。工学博士。情報処理学会フェロー、法とコンピュータ学会フェロー。石油資源開発(石油探査の研究)、旭化成(ロケット・エンジンおよびパケット通信網の開発)、旭リサーチセンター取締役(技術政策研究)、新潟大学法学部教授(情報法)、関西大学総合情報学部教授(ネットワーク論)を経て、国際大学GLOCOM客員教授、および情報セキュリティ大学院大学非常勤講師。
 主な著書に『科学書乱読術』(朝日選書、1998)、『企業家エジソン』(朝日選書、2002)、『学術情報と知的所有権』(東京大学出版会、2002)、『ゲノム情報はだれのものか』(岩波書店、2002)、『ディジタル著作権』(みすず書房、2004)、『情報セキュリティ』(みすず書房、2005)などがある。