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情報技術と組織のアーキテクチャ モジュール化の経済学

情報技術と組織のアーキテクチャ 池田信夫 著

池田信夫 著

発売日:2005.06.28
定価:3,740円
サイズ:A5判
ISBNコード:4-7571-0165-1

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この本の内容

情報家電において、日本型組織は優位を発揮できるか? モジュール化をキー概念に、情報技術の変化と組織の関係を理論的に考察し、情報通信政策への応用を試みる。

目次

はじめに 序章 本書の主題と方法
1.なぜ情報通信が重要か

2.制度としての技術
情報技術をどう分析するか
分析用具と作業仮説


第1章 情報処理のアーキテクチャ
1.デジタル化とモジュール化
記号による記号の処理
モジュール化

2.情報のカプセル化
階層化とカプセル化
通信ネットワークとプロトコル
チューリングへの回帰
並行開発と情報カプセル化

3.柔軟性とオプション価値
不確実性と柔軟性
複数均衡と非凸性
オプション価値

4.モジュールの設計
モジュールの大きさと調整コスト
プラットフォームのオプション価値
標準化の戦略

5.技術と社会の葛藤


第2章 技術と組織の設計

1.企業組織と所有権
企業の境界
モジュール化と調整コスト

2.長期的関係と「日本型」企業組織
契約の不完備性と長期契約
日本型モデル

3.アーキテクチャ競争
意図せざる適応
業務設計と組織構造
インセンティヴと調整機能

4.ネットワーク時代の組織
シリコンバレー型モデル
PCからインターネットへ

5.情報産業のガバナンス


第3章 半導体技術と産業構造

1.トランジスタからマイクロプロセッサへ
量子力学の生んだ汎用素子
シリコンの書物
チップの中の汎用コンピュータ

2.ムーアの法則の経済的帰結

3.汎用技術としての半導体
環境の不確実性と汎用技術
アーキテクチャと企業の境界

4.半導体産業の教訓
半導体産業の専門分化
インターフェイスの抽象化
日本半導体産業の盛衰
プラットフォーム戦略

5.今後の展望


第4章 情報の所有形態と効率性

1.インターネットとオープンソース
ユーザーによるコントロール
オープンソース・ソフトウェア

2.情報の共有と結合
プラットフォームの形態
情報共有と所有形態

3.オープン・プラットフォームの役割
OSSのインセンティヴ
オープン・イノベーション

4.非営利のガバナンス
弱いインセンティヴと情報共有
NPOの可能性


第5章 デジタル情報のガバナンス

1.情報と財産権
歴史的な背景
所有権と著作権

2.経済システムと知識管理
独占とインセンティヴ
経済成長とスピルオーバー

3.情報の共有メカニズム
報奨制度
責任ルール
デジタル権利管理

4.デジタル時代の秩序


第6章 インターネット時代の通信政策

1.汎用技術としてのインターネット

2.アンバンドリングの意味
インターネットの階層
設備ベースの競争と回線共用

3.規制の効果と限界
アンバンドル規制の限界
規制の手法

4.日本の経験
DSLの成功
電話網の崩壊

5.残された問題


第7章 電波開放のメカニズム

1.希少性の神話

2.新しいデジタル無線技術
パケット無線
さまざまな多重化技術

3.電波規制の改革
プロトコルとしての電波
公共財としての電波の管理

4.逆オークション
移行の戦略
オークションの設計
考慮すべき事項

5.通信産業への影響


終章 制度設計の科学に向けて

1.制度設計の意味

2.本書の含意
効率性と柔軟性
均衡選択としての制度設計
デジタル情報と財産権

3.今後の課題


付録 IPv6は必要か

1.何が問題か
IPアドレスとは
アドレスは枯渇するか

2.見逃されている問題
ゆがんだ配分
アドレス空間の拡張は必要か

3.IPv6の実用性
IPv6で何ができるか
移行は可能か
IPの限界

4.急ぐ必要はない


参考文献
事項索引
人名索引

著者紹介

池田 信夫(いけだ のぶお)
慶応義塾大学助教授。中国・南開大学現代管理研究所訪問研究員。
1969年生まれ。
専攻。制度と企業組織の理論,企業形態論。経営学理論分野で評価が高い。将来、慶大の経営学を背負って立つといわれている逸材
<訳書>青木昌彦他編『東アジアの経済発展と政府の役割:比較制度分析アプローチ』 (共訳、日本経済新聞社)、青木昌彦著『比較制度分析に向けて』(共訳、NTT出版)