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通商摩擦はなぜ起きるのか 保護主義の政治経済学

通商摩擦はなぜ起きるのか 伊藤元重/伊藤研究室 著

伊藤元重/伊藤研究室 著

発売日:2000.03.03
定価:3,630円
サイズ:A5判
ISBNコード:4-7571-2022-2

品切れ

この本の内容

コメ、繊維、自動車、先端技術といった個別の分野ごとに「保護主義」について分析する。「保護主義」というあいまいな考えを明らかにし、通商摩擦、ひいては日本の国際経済関係についての理解を深める。

目次

第1部 保護主義の構造
 第1章 保護主義とは
  1.転換期にある国際通商体制
  2.貿易自由化のプロセス
  3.保護主義の論理
  4.保護主義の形態
  5.本書の構成
 第2章 国家は競争するのか
  1.はじめに
  2.「競争力」をめぐる議論
  3.「競争力」の強調と経済政策
  4.経済システムと制度の「競争力」
  5.まとめ
第2部 伝統的分野における保護主義
 第3章 貿易と労働基準――誰のための労働基準か
  1.はじめに
  2.先進国の未熟練労働者の受難と発展途上国との貿易
  3.何が賃金格差拡大をもたらしたのか
  4.貿易と労働基準をめぐるいくつかの議論
  5.まとめ
 第4章 コメ市場開放にみる保護主義
  1.はじめに
  2.市場開放
  3.コメ輸入自由化のメリット・デメリット
  4.自由化反対論
  5.農家の政治力
  6.農業の保護主義とは――非経済的価値という特殊性
 第5章 繊維産業の保護主義
  1.はじめに
  2.繊維産業の特徴
  3.アメリカでの繊維産業保護
  4.MFA前夜
  5.MFAという管理貿易システム
  6.おわりに――MFAは成果を上げたのか
第3部 先端分野における保護主義
 第6章 半導体貿易摩擦と協定
  1.はじめに
  2.半導体産業の特性
  3.初期の摩擦と交渉の原型
  4.日米半導体協定の締結
  5.価格協定とその影響
  6.市場アクセス
  7.まとめ
 第7章 日米自動車摩擦の歴史
  1.自動車産業の重要性
  2.輸出自主規制の実施とその影響
  3.輸出から現地生産へ
  4.輸出自主規制から輸入自主拡大へ
  5.今後の日米自動車摩擦
 第8章 国際貿易における知的財産権制度
  1.はじめに
  2.知的財産権が問題となったケース
  3.知的財産権とは
  4.ハーモニゼーションへの道
  5.おわりに
 第9章 戦略的通商政策
  1.はじめに
  2.戦略的通商政策の理論
  3.経済学における戦略的通商政策理論の位置
  4.戦略的通商政策理論の問題点
  5.事例研究
  6.まとめ
第4部 保護主義の政治経済学
 第10章 日米フィルム摩擦――保護主義の構造とクライアント・ポリティクス
  1.はじめに
  2.日米フィルム摩擦
  3.フィルムの流通制度
  4.日本の保護主義
  5.クライアント・ポリティクス
  6.寡占競争
  7.WTOでの代理戦争
  8.おわりに
 第11章 貿易政策はどう決まるのか
  1.はじめに
  2.戦後の国際経済体制を規定する理念と制度
  3.自由貿易を実現させるアメリカ国内のシステム
  4.自由貿易政策をゆるがす経済環境の変化
  5.守られなくなった議会と苦悩する行政府
  6.エスカレートする貿易救済手続き
  7.おわりに
 第12章 WTO・GATTと保護主義
  1.はじめに
  2.GATTとは
  3.GATTの成果
  4.GATTからWTOへ
  5.WTO
  6.結び
参考文献
あとがき

著者紹介

伊藤 元重(いとう もとしげ)
東京大学経済学部教授、国際経済学専攻。
1951年静岡県生まれ。ロチェスター大学大学院経済研究科博士課程修了。
著書に、『入門経済学』『ミクロ経済学』(日本評論社)、『ゼミナール国際経済入門』(日本経済新聞社)、『提言 通商摩擦』『日本の物価はなぜ高いのか』『円高・円安の企業行動を解く』『日本のサービス価格はどう決まるのか』(共著、NTT出版)等。